2025/04/28
一番のきっかけは、やはりラトネッシュ社長のお考えでした。
実は以前、別の国の人材採用で少し失敗した経験があり、正直なところ、外国人材の採用に対して少しトラウマになっていました。また、インドという国自体は知っていても、「人材」という面では全くと言っていいほど分かっていない状況でした。
そんな中、アイティップス様のラトネッシュ社長とお会いして、お話を伺ったんです。
複数の紹介会社さんと話した中で、多くは「国内の人材不足を外国人材で補いましょう」という考え方でした。それはそれでありがたいのですが、ラトネッシュ社長のビジョンは少し違ったんです。
最終的な目標としてお話しされていたのは、「日本で技術や安全、品質といった教育を受けた人材と共に、私たち日本の企業がインドに進出し、事業を展開していく」という、その先の未来でした。
単に日本の人材不足を埋めるためだけでなく、インドという国全体を見据えて、共に成長していこうという、その大きな構想にとても感銘を受けました。
私たちのような国内でしか事業を展開してこなかった会社にとって、ラトネッシュ社長が示してくださったビジョンは、「将来的に海外へ打って出る足がかりになるかもしれない」という、ちょっとした「夢」を見させてくれるものでした。
過去の失敗による不安もありましたが、単に人材不足を解消するだけでなく、その先にある大きな可能性を感じさせてくれたこと。それが、今回アイティップス様にお願いしようと決めた一番の理由です。
まず、管理職が集まる会議で、インドでの面接結果を報告しました。「4名採用してきました」と伝え、面接時の映像を見せながら、彼らがどんな人で、どんな得意なことがあるのかを紹介したんです。そして、「みんなで育てていきましょう!彼らは私たちの新しい仲間です!」と、熱意を込めて伝えました。
ところが、その時の管理職たちの反応は、なんと「シン…」とした沈黙でした。一緒に面接に行って、現地で盛り上がっていたはずの管理職でさえ、何もコメントがないんです。
「あれ?みんな、インドに行く話も、インドの方を採用する話も前から散々してきたよね? ついに実際に行ったんだから、何か反応があるはずなのに…」と、正直面食らいました。
会議の後、何人かの管理職と飲みにいった際に、改めて「なんで反応がなかったんだ?」と聞いてみたんです。
その時の一人が言っていたのが、「正直、初めて『現実なんだな』と認識しました」ということでした。これまでは、どこか「社長がまた何か面白そうなことをやってるな」くらいの、半分「夢物語」のように捉えていた部分があったのかもしれません。それが、実際に採用が決まり、具体的な入国時期が見えてきたことで、一気に「現実」として迫ってきたようです。
そういった状況なので、社内にはまだ「外国人材を受け入れるんだ」ということが十分に浸透していない、というのが正直な現状です。受け入れまであと数ヶ月ありますが、その間に、今回採用した4名がスムーズに入ってこられるよう、社内全体で受け入れ態勢を整えていくことが、私たちのこれから取り組むべき重要な課題だと感じています。
アイティップス様と連携しながら、彼らが安心して日本で働けるよう、社内への情報共有や教育を進めていきたいと思っています。
今回のインド訪問で、私自身のインドやインド人材に対するイメージも大きく変わりました。学生時代に一度訪れたことはありましたが、今回のバンガロールはITの中心地というくらいしか知らずに行きました。行ってみて驚いたのは、インフラはまだ整っていない部分もあるのに、どこに行っても「人、人、人」。そしてその一人ひとりが、ものすごいエネルギーとやる気に満ち溢れていることでした。特にアイティップスさんの訓練校で会った彼らは、日本語や技術の習得に対するモチベーションが非常に高く、自分の夢や目標をしっかりと語れる子たちが、想像以上にたくさんいました。
面接で多くの素晴らしい人材と出会い、全員を採用できないのは心苦しいですが、今回縁があって入ってきてくれる4名のためにも、私たち受け入れ側が彼らの期待に応えられるよう、しっかりと準備を進めていきたいと思っています。
外国人材を受け入れるにあたっては、私たち企業側にもまだまだ分からないことや「不安」な点がいくつかあります。実際に受け入れが始まった後も、予期せぬ「課題」が出てくるかもしれません。
そうした時に、自社だけで抱え込まずに済むよう、他の受け入れ企業様と「情報交換」をしたり、「うちではこうしてますよ」と具体的な経験を共有し合える場があれば、非常に助かります。形式的なものではなく、「お茶でも飲みながら、最近どうですか?」と気軽に話せる雰囲気だと嬉しいです。
もう一つ、とても大切だと考えているのが、受け入れた人材に「定着」してもらうことです。もちろん長く働いてほしいという思いはありますが、万が一、うちの会社には合わなかったとしても、すぐに日本を離れてしまうのではなく、他の企業へ転籍したり、別のスキルを身につけたりできるような「セーフティネット」のような仕組みがあれば、本人たちも安心できるはずです。
アイティップスさんが厳選・教育してくれたせっかくの優秀な人材です。「誰でもいい、安ければいい」ではなく、長く活躍してもらいたいと思っています。そのためにも、相性の問題などで困難に直面した時でも、このネットワークの中で次の活躍の場が見つけられるような環境は、私たち受け入れ企業としても、安心して人材を受け入れる上でも非常に重要だと感じています。
不安や課題を隠さずに共有し、共に解決していくことで、人材も私たち企業も、そしてこの業界全体も成長していけることを期待しています。